横手では子どもが減っている。

それなら保育所や学童保育も、利用者が減って余っていくのか。

少なくとも学童保育では、短期的には逆の動きが起きている。

横手市が2026年3月に改訂した学童保育施設整備計画は、少子高齢化で年少人口が減っている一方、共働き、核家族化、同居家族の高齢化などを背景に学童利用率が上昇し、利用者数も増えていると整理している。

計画上の利用見込みは、2025年度1,418人から2026年度1,475人へ増える。

子どもの総数と、子育てサービスを必要とする子どもの割合は同じ方向に動くとは限らない。

少子化だけを見れば需要を読み違える

人口減少地域の行政サービスでは、利用対象人口が減れば需要も減ると考えやすい。

学校なら児童生徒数が減り、実際に横手市の市立小中学校数も長期的に減ってきた。

しかし学童保育の需要は、子どもの人数だけでは決まらない。

保護者が放課後に家庭で子どもを見られるかが重要になる。

市の計画は、

  • 核家族化
  • 共働き
  • 同居家族の高齢化
  • 5・6年生の利用需要

を背景に、学童利用率が上昇しているとしている。

「子どもが減るから施設を減らせばよい」ではない。

2025年度1,418人から2026年度1,475人へ

2026年3月改訂計画の利用見込みは、

年度学童利用見込み利用定員
2023年度実績1,308人1,412人
2024年度1,389人1,444人
2025年度1,418人1,579人
2026年度1,475人1,649人
2027年度1,448人1,649人
2028年度1,394人1,649人

となっている。

2026年度を山に、その後は利用見込みが減る計画である。

つまり長期では少子化の影響が出る一方、現在は利用率上昇が子どもの減少を上回る局面にある。

市全体に余裕があっても、地域別には待機が出る

計画では、市全体の定員は利用見込みを上回っている。

それでも近年、横手南、横手北、雄物川、十文字の各小学校区では待機児童が発生したとしている。

これは公共サービス配置でよく起きる問題である。

市全体で1,649人分の定員があっても、自宅や学校から遠い別地域の空き定員を使えるとは限らない。

需要と供給は「市全体の合計」だけでは判断できない。

住宅を選ぶときも、市内に学童が何か所あるかではなく、自分の小学校区に十分な定員があるかを見る必要がある。

2026年度は29か所、支援員等151人を想定

改訂計画では2026年度について、学童保育29か所、支援員・補助員151人を想定している。

施設だけ増やしても運営できない。

子どもを見守る人材も必要になる。

しかも市は、支援員の高齢化や人材確保を課題として扱ってきた。

人口減少下では、子どもが減る一方、子育てサービス側でも働く人が減る。

需要が減る速度と、供給人材が減る速度のどちらが速いかでサービスの余裕は変わる。

市は直営だけでなく法人委託へ移そうとしている

2026年3月改訂計画では、人材確保策として、地域の子育て支援ノウハウやコミュニティを持つ法人等への運営委託を進める方針が示されている。

市側には事務負担軽減、法人側には定期的な収入、利用者側にはサービス品質確保を期待する構造である。

これは行政サービスの縮小というより、提供主体の変更である。

人口減少下では、

  • 市が直営する
  • 民間法人へ委託する
  • 施設を統合する
  • 学校施設等を活用する

といった方法を組み合わせ、必要機能を残すことになる。

子育てサービスは「量的拡充」だけの時代から変わる

横手市は2026年3月に教育・保育施設整備計画も新たに策定している。

計画の目的は、地域の実情に応じた施設配置と、子どもが安心して教育・保育を受けられる環境を両立することである。

出生数が減れば、長期的には保育施設の定員や配置を見直す必要が出る。

一方で、共働き世帯の増加、保育ニーズの変化、老朽施設更新などがあるため、単純に施設数だけ減らすこともできない。

地元就職者には「共働きできるか」が年収と同じくらい効く

夫婦のどちらかが働けないと、世帯所得は大きく変わる。

地元就職を考える人にとって、学童保育は子育て施策というだけではない。

二人分の労働力を維持するためのインフラである。

例えば、

  • 学童へ入れるか
  • 午後何時まで預けられるか
  • 長期休暇に使えるか
  • 勤務先から迎えに間に合うか
  • 兄弟で同じ生活動線にできるか

が、勤務時間や転職可能性を左右する。

年収が高い会社でも、迎え時間と勤務時間が合わなければ選べない場合がある。

地場経営者には女性・子育て世代の労働供給として効く

横手市は女性の労働参加率が全国より高いという特徴を持つ。

その労働力を維持するには、保育・学童の供給が必要になる。

人手不足の会社にとって、学童保育の定員は自社の外にある話ではない。

社員が子どもの預け先を確保できなければ、

  • 時短勤務
  • 早退
  • 休職
  • 離職

につながる可能性がある。

地域の子育てサービスは、企業の採用・定着インフラでもある。

施設を減らすなら、学校統合との整合も必要

横手市では学校統合も進んできた。

小学校区が変われば、学童保育の需要配置も変わる。

学校が統合されても、学童施設だけ旧配置のままでは送迎が複雑になる可能性がある。

反対に学校敷地や旧公共施設を学童へ転用できれば、新築を抑えながら需要へ対応できる。

学校、スクールバス、学童は別々の施設計画ではなく、子どもの一日の動線として見る必要がある。

2050年には「利用者が減る」だけでは足りない

2050年には横手市人口が5万人を下回る公的推計がある。

その時点で現在と同じ学童29か所が必要かは分からない。

子どもの人数、共働き率、働き方、学校配置、送迎、自動化などが変わるからだ。

長期的には、

  • 小学校区ごとの児童数
  • 学童利用率
  • 待機児童
  • 定員
  • 施設数
  • 支援員数・年齢
  • 直営/委託比率

を一緒に追う必要がある。

子どもが減ることと、子育てが楽になることは別

少子化が進めば、子ども一人あたりに使える施設余力が増える場合もある。

しかし、サービスを担う人も減る。

施設が地域ごとに偏る。

共働きで利用率が上がる。

学校統合で送迎距離が伸びる。

そのため、人口減少を「利用者が減るので行政サービスは簡単になる」とは扱わない。

横手で子どもを持つ人が知りたいのは、子どもの総数ではなく、自分が必要な時間と場所にサービスを使えるかである。

Sources

  • yokote-after-school-plan-r8: 横手市「横手市学童保育施設整備計画 令和8年3月改訂」
  • yokote-child-plan-r8-r11: 横手市「横手市こども計画」
  • yokote-education-childcare-facility-plan-r8-r12: 横手市「横手市教育・保育施設整備計画」
  • yokote-schools-shrinking: 当サイト「横手市の市立小中学校は33校から20校へ減った」