横手で就職先を探すとき、「求人があるか」だけを見ると地域の労働市場を見誤る。
今ある求人は今月の採用需要を示す。一方で、地元で20年、30年働くなら、働く人の総数、年齢、産業構造、転職先の厚みまで見た方がいい。
横手市の第2次商工業振興計画に掲載された統計では、市内就業者数は2005年の52,331人から2020年には44,009人まで減っている。
15年間で8,322人、約16%の減少になる。
働く人が減り、年齢も上がっている
就業者数の推移は次のとおり。
| 年 | 就業者数 |
|---|---|
| 2005 | 52,331人 |
| 2010 | 47,396人 |
| 2015 | 46,718人 |
| 2020 | 44,009人 |
人数だけでなく、年齢構成も変わっている。
2020年の就業者44,009人のうち、年齢別構成は次のようになっている。
| 年齢 | 人数 | 構成比 |
|---|---|---|
| 15〜29歳 | 3,889人 | 8.8% |
| 30〜39歳 | 6,930人 | 15.7% |
| 40〜49歳 | 9,227人 | 21.0% |
| 50〜59歳 | 9,073人 | 20.6% |
| 60歳以上 | 14,890人 | 33.8% |
60歳以上だけで約3人に1人を占める。
15〜29歳は1割を下回る。
若い人にとって、この数字は「高齢者が多い」という感想で終わる話ではない。
自分が30代、40代になるまでに、現在50代・60代以上の人たちが大量に退職していく可能性があるということでもある。
会社にとっては採用・技能継承・管理職育成の問題になる。
若手社員にとっては、昇進機会が増える可能性もあれば、人が補充されず一人あたりの担当範囲が広がる可能性もある。
統計だけではどちらになるかは分からない。
横手は、既にかなり多くの人が働いている
2020年の15〜64歳の労働参加率は83.3%だった。
全国79.8%、秋田県81.6%より高い。
女性は78.3%、65歳以上も30.2%とされている。
つまり、労働力が減ったときに「今まで働いていなかった人が働けば埋められる」と簡単には考えにくい。
既に女性や高齢者を含めて高い割合の人が労働市場へ参加しているからだ。
今後さらに働き手を確保するには、単純な就業参加の拡大だけでなく、次のような変化が必要になる可能性がある。
- 市外から働きに来る人を増やす
- 外国人を含む新しい労働力を受け入れる
- 一人あたりの生産性を上げる
- 自動化する
- 事業そのものを減らす、統合する
- 営業時間やサービス水準を変える
どれが起きるかは業種ごとに違う。
人手不足でも、若い人の仕事が自動的に良くなるわけではない
第2次商工業振興計画では、ハローワーク横手管内の2024年度新規求人数を7,624人、新規求職者数を4,571人としている。
同計画は慢性的な人手不足が続いていると整理している。
人手不足は求職者に有利に見える。
ただし、「人が足りない」と「高賃金で選べる仕事が多い」は別の話だ。
人手不足の背景が、急速な需要拡大ではなく、退職や若年人口減少である場合もある。
また、求人が多くても特定の職種に偏っていれば、専門職や事務職を希望する人の選択肢は少ないかもしれない。
地元就職で見るべきなのは、総求人倍率だけではなく職種別の需給だ。
今後は秋田労働局の職業別求人・求職バランスも追う。
横手市は周辺から働く人を集めている
2020年国勢調査を使った市の分析では、横手市への就業流入者は8,227人、横手市から市外へ出る就業流出者は6,420人だった。
流入が1,807人多い。
特に製造業、卸売・小売、医療・福祉では流入超過が大きいと市は分析している。
これは重要だ。
横手市の労働市場は、市内人口だけで成立しているわけではない。
大仙市、湯沢市、羽後町など周辺からの通勤を含む地域労働市場として見る必要がある。
逆に言えば、横手市の人口が減っても、周辺から通勤者を確保できれば一部の雇用は維持できる。
ただし周辺自治体も人口減少しているため、この補完が50年続くとは限らない。
地元就職で見るべきは「会社」より「職種×地域」
20代で会社を選ぶとき、社名だけを見ても長期的な選択肢は分からない。
例えば同じ製造業でも、設備保全、品質管理、機械設計、生産管理、総務では転職先の数も地域外への持ち出しやすさも違う。
介護職、看護職、建設技術者、自動車整備士など、地域人口が減っても需要が残りやすい資格・技能もある。
一方、地域内に数社しかない職種は、現在の勤務先を離れたときに市外転職が必要になる可能性が高い。
このサイトでは今後、求人件数だけでなく、次を職種単位で確認したい。
- 横手・県南に何社の雇用主があるか
- どの程度の求人が継続的に出ているか
- 給与帯はどうか
- 正規・非正規の割合はどうか
- 必要資格は何か
- その技能は秋田市、仙台、首都圏でも通用するか
50年で見ると、採用より事業承継が大きな問題になる
2026年に25歳の人は、2050年に49歳、2060年に59歳になる。
現在の中小企業経営者や熟練者の多くは、その前に世代交代する。
地元企業に残るなら、社員として働く話だけでなく、管理職、経営、事業承継を引き受ける側になる可能性がある。
そのため、「会社が若手を採用できるか」だけでなく、「会社そのものを次世代へ渡せるか」も労働市場の一部として追う必要がある。
今の数字から断定できないこと
この記事で使う就業者の詳細は2020年国勢調査が中心で、2026年現在の年齢構成を直接示すものではない。
またハローワーク横手管内と横手市は地理的範囲が完全には同じではない。
求人件数も、民間求人媒体や縁故採用を含む地域内すべての雇用を表すものではない。
したがって、この記事は「横手の仕事は今後こうなる」という予測ではなく、長期の地元就職判断で何を観測すべきかを整理するbaselineとする。
Sources
yokote-commerce-industry-plan-r8-r12: 横手市「第2次横手市商工業振興計画」akita-labor-employment-r8-07: 秋田労働局「秋田県内の雇用情勢(令和8年7月)」akita-labor-hw-timeseries: 秋田労働局「ハローワーク別求人・求職状況」