横手で就職して暮らすなら、車が必要。
ここまでは分かりやすい。
では結婚して共働きになったら、車は2台必要なのか。
子どもができたら3台目まで必要なのか。
住宅を買うとき、駅やバス停への距離にいくらの価値を置くべきなのか。
これは単なる交通の話ではない。
横手で働く人の可処分所得、住宅選び、転職範囲、子育て、老後までつながる固定費の問題になる。
横手では、自分で車を運転する人がかなり多い
横手市地域公共交通計画の市民アンケートでは、通勤・通学時の交通手段について、回答702件のうち「自分で車を運転」が58.8%で最も多かった。
次が「家族の送迎」13.2%、地域公共交通11.0%、自転車8.4%、徒歩7.8%だった。
これは市民全員を網羅した交通分担率ではなくアンケート結果なので、そのまま全人口へ一般化はしない。
それでも、本人運転と家族送迎を合わせると、自動車へ生活移動を依存している回答が大きいことは分かる。
歴史的には1世帯2台を超えていた
横手市の2016年版ポケット統計では、自動車保有台数77,723台、一世帯当たり2.26台とされている。
これは2015年前後の古い数字だ。
2026年現在の一世帯当たり保有台数として使うことはできない。
ただ、横手で「家に車が1台あれば十分」という生活だけが標準だったわけではないことを示す歴史的なbaselineにはなる。
今後は最新の自動車保有台数と世帯数を組み合わせ、現行値を別途確認したい。
共働きで2台依存になるのは、勤務時間が重なるから
夫婦ともに車通勤していて、勤務先が違うとする。
1台を共有できるのは、
- 同じ勤務先
- 通勤経路が近い
- 始業終業時間が近い
- 一方が公共交通で通える
- 送迎しても生活が成立する
場合になる。
勤務先が横手地域と平鹿地域、あるいは横手と湯沢のように別方向なら共有は難しい。
地方の車保有は「移動距離が長いから」だけではない。
家族の複数人が同じ時間に別方向へ動くため、車両を並列に必要とすることがある。
1台で暮らせても、送迎という無償労働が増えることがある
車を1台にすれば、購入費、保険、車検、タイヤなどを減らせる。
ただし家族送迎が増えれば、別のコストが出る。
例えば、
- 配偶者を職場へ送る
- 子どもを学校や部活動へ送る
- 親を病院へ送る
- 買い物へ連れて行く
といった移動だ。
家計簿ではガソリン代しか見えないが、毎日30分、1時間を送迎に使えば年間では大きな時間になる。
「車を1台減らせるか」は、車両費と送迎時間を両方見た方がいい。
子どもができると、通勤以外の移動が増える
横手では学校統合が進み、スクールバスも運行されている。
通学自体は行政輸送で補える場合がある。
しかし子育ての移動は学校だけではない。
- 保育園
- 学童
- 習い事
- 部活動
- 通院
- 買い物
がある。
共働き世帯では、夫婦の勤務と子どもの予定が同時に存在する。
住宅を選ぶとき「会社まで車で15分」だけを見ると、この生活動線を見落とす。
横手地域と周辺地域では条件が同じではない
交通アンケートでも、地域ごとに交通手段の回答比率は違う。
横手地域では自転車や徒歩の回答も比較的存在する一方、平鹿などでは本人運転の割合が高い。
市全体を一つの「車社会」として扱うだけでは粗い。
見るべきなのは、家から、
- 勤務先
- 学校
- 病院
- スーパー
- 駅
- 公共交通拠点
までの実際の距離になる。
同じ横手市内でも、車1台で成立しやすい住宅と、成人一人1台に近い前提になる住宅がある可能性が高い。
デマンド交通があっても、通勤車の完全代替とは限らない
2026年の横手市には、循環バスやデマンド交通など複数の公共交通がある。
デマンド交通は、定時定路線のバスだけでは支えにくい地域の移動を補う重要な仕組みだ。
ただし、予約、運行時間、乗降地点、目的地との位置関係などがある。
毎日決まった時刻に会社へ行き、残業後に帰る通勤を、自家用車と同じ自由度で代替できるとは限らない。
公共交通が「存在するか」ではなく、自分の勤務シフトに使えるかを見る必要がある。
車2台は、住宅ローンとは別の長期固定費になる
住宅を買うとき、購入価格と住宅ローンは大きく見える。
車は1台あたりの価格が家より小さいため、生活設計で軽視しやすい。
しかし50年間には複数回買い替える。
掛かるのは、
- 車両購入
- 自動車税等
- 任意保険
- 車検
- 整備
- 夏タイヤ
- 冬タイヤ
- 燃料
- 駐車スペース
になる。
2台必要な住宅地と1台で暮らせる住宅地では、土地価格差だけでは比較できない。
中心部の住宅が高くても、車両を1台減らせるなら生涯コストの差が小さくなる場合もある。
逆に、中心部へ住んでも夫婦の勤務先が別方向なら2台必要なままかもしれない。
実際の生活動線で計算する必要がある。
地元就職者には、転職可能性にも効く
車があると、転職圏が広がる。
横手市内だけではなく、湯沢、大仙、羽後なども勤務先候補に入れられる。
場合によっては県境を越えた通勤も検討できる。
地元労働市場が薄いほど、この移動自由度はキャリア上の保険になる。
一方、車を持てない、運転できない状況では転職候補が急に狭くなる可能性がある。
横手で働く人にとって、自動車は消費財であるだけでなく、労働市場へアクセスする道具でもある。
会社側も、社員が車を持っている前提に依存していることがある
地場企業が採用するとき、公共交通で通えるかをあまり意識していない場合がある。
無料駐車場を用意し、「車通勤可」で終わる。
しかし若年者、移住者、外国人、免許を持たない人まで採用対象を広げるなら、通勤手段が採用制約になる。
工業団地や郊外事業所では特に、
- 最寄駅
- バス時刻
- 送迎バス
- 乗合通勤
を考える余地がある。
人手不足が強くなれば、企業側が社員の移動を支える必要性も増えるかもしれない。
2050年には「2台持てるか」より「2人とも運転できるか」が問題になる
2026年に25歳なら、2050年に49歳。
まだ運転できる人が多い年代だろう。
しかし親は高齢になっている可能性が高い。
親が免許を返納すれば、家族の送迎負担が増える。
さらに2070年には本人も69歳。
その頃、
- 自動運転
- オンデマンド交通
- 宅配
- 遠隔医療
が現在より普及している可能性はある。
ただし実際の普及を確認せず、未来の交通問題が技術で解決済みとは置かない。
住宅は50年残る可能性があるので、今の運転能力だけを前提に場所を選ばない方がいい。
住宅を見るときは「車がなくても残る生活」を確認する
移住者や地元の若手が住宅を買うなら、次の二つの状態を確認したい。
車を自由に使える現在
- 通勤時間
- 除雪
- 駐車
- 買い物
車を1台しか使えない、または運転できない将来
- 最寄りの公共交通
- スーパー・医療までの距離
- タクシー利用
- デマンド交通
- 家族送迎なしで成立するか
後者が完全に成立しない住宅なら、その家は車を維持できる期間と強く結びつく。
現時点で「横手は2台必須」とは言わない
古い統計では1世帯当たり自動車2.26台だった。
アンケートでも自動車依存は強い。
しかし世帯人数、単身世帯増加、地域、職場、公共交通によって必要台数は違う。
そのため、
横手なら絶対2台必要
とは書かない。
むしろ重要なのは、
自分たちの勤務・子育て・親支援の時間割で、1台を共有できるか
という問いになる。
このサイトで次に取りたい数字
- 最新の自動車保有台数
- 最新の世帯当たり保有台数
- 地域別保有台数
- 通勤手段
- 世帯内就業者数
- 公共交通利用者
- デマンド交通利用実績
- タクシー供給
- 車の年間維持費
これが揃えば、「横手で住居費が安い」という話を、車両費まで含めて比較できる。
現時点の結論
横手で共働きするなら、2台の車が必要になる生活は十分あり得る。
しかし市内のどこでも2台必須というわけではない。
重要なのは、自分と配偶者が同じ時刻にどこへ移動するか、子どもや親の送迎がどれだけ発生するか、公共交通が実際の時間割に使えるかになる。
地元就職の給与を考えるときも、額面年収だけでなく、その仕事を続けるために車を何台維持する必要があるかまで生活コストとして見る方が現実に近い。
Sources
yokote-public-transport-plan-r6-r10: 横手市「地域公共交通計画」yokote-public-transport-survey-r6-r10: 横手市「地域公共交通計画 資料編 市民アンケート」yokote-mini-statistics-2016-car: 横手市「ミニ統計よこて 2016」yokote-demand-and-loop-bus-r8: 横手市「横手デマンド交通・横手市循環バス」yokote-public-transport-council-r8: 横手市「地域公共交通活性化協議会」yokote-population-vision: 横手市「人口ビジョン」