市議会の一般質問を読むと、横手で何が問題になっているかは見えてくる。

ただし、質問を読んだだけでは足りない。

議員が問題を指摘したあと、市は何と答えたのか。計画はどうなったのか。予算はいくらだったのか。サービスはどう動いたのか。そして結果はどうなったのか。

公共交通では、2024年3月の一般質問について横手市議会の公式答弁要約まで確認できた。同じ月に地域公共交通計画が策定され、2024年度予算、2025年度利用実績、2026年の計画改訂と予算、2026年10月の循環バス改編予定までを一つの論点として並べられる。

一方、2024年3月答弁の会議録逐語本文と、2026年10月改編後の利用実績はまだ取れていない。

ここでは、時間的に並んでいることを「議会質問が政策を変えた」という因果へ変えずに追う。

2024年3月、何が質問されたのか

2024年3月1日の一般質問で、立身万千子議員は「持続可能な地域社会をめざす地域交通政策を!」をテーマに質問している。

公式の一般質問要旨から確認できる項目は、

  • 地域公共交通計画の進捗と、住民参加による議論をどう工夫しているか
  • 交通事業者への補助だけでなく、交通サービス充実のための予算執行・検証結果を住民へ情報公開してきたか
  • 交通基本条例を制定する考えはあるか

である。

ここでは「質問された」という事実と、質問者の問題認識を保持する。

質問に書かれた評価を、市の公式見解へ変えない。

横手市議会の公式広報から、答弁の要約まで確認できた

横手市議会だよりNo.79には、この一般質問と執行部答弁の要約が掲載されている。

住民参加について、市は市民アンケートやバス乗降調査等で実態を把握し、当時策定中だった地域公共交通計画へ市民ニーズを反映する考えを示していた。

予算については、生活バス路線への補助だけでなく、廃止路線の代替交通、デマンド交通、循環バス、公共交通利用回数券などに関する負担を説明し、地域公共交通活性化協議会の資料等を市ホームページで公表している旨を回答している。

交通基本条例については、地域公共交通計画や立地適正化計画等に、生活を支える公共交通の充実や公共交通を軸としたまちづくりの考え方が位置付けられているとして、条例を制定しない考えを示していた。

これは横手市議会自身が発行した公式資料である。

ただし、会議録の逐語本文ではなく議会広報の要約である。

したがって、

質問要旨             取得済み
議会公式の答弁要約   取得済み
会議録の逐語本文     未取得

と分けて保持する。

要約が取れたからといって、答弁の細かな言い回しまで確定したことにはしない。

地域公共交通計画は、質問時点ですでに策定中だった

横手市の地域公共交通計画は2024年度から2028年度を計画期間とし、2024年3月に策定された。その後、2026年6月に改訂されている。

重要なのは、2024年3月の一般質問への答弁で、市がすでに「策定中」と説明していたことである。

したがって、

一般質問を受けて地域公共交通計画が作られた

とは読まない。

質問と計画策定が同じ月に並んでいても、計画はそれ以前から行政過程として進んでいた。

議会追跡で見るのは、同じ論点が質問、答弁、計画、予算、実績へどう現れているかであって、確認できない因果関係ではない。

2024年度予算を見ると、答弁で説明された費用構造を数字で確認できる

2024年度当初予算案では、地域公共交通費は179,213千円だった。

主な内訳は次のとおり。

予算項目2024年度当初予算
生活バス路線運行費補助事業(補助)76,907千円
生活バス路線運行費補助事業(単独)8,177千円
地域公共交通活性化事業61,800千円
代替運行事業27,171千円

代替運行事業には、バス廃止路線における代替交通や、自家用有償旅客運送の運行が含まれていた。

つまり、同年度の予算資料からも、公共交通費が民間バス事業者への補助だけで構成されていないことを確認できる。

ただし、この179,213千円は当初予算である。

実際にいくら支出されたか、各サービスでどの程度利用されたかは決算・実績で別に見る必要がある。

また、この予算が一般質問によって付いたとは扱わない。質問と同じ年度の予算構造を接続しているだけである。

2025年度の実績を、10月改編前のbaselineにする

2026年5月29日の地域公共交通活性化協議会資料から、令和7年度、つまり2025年4月から2026年3月までの実績を確認できた。

横手デマンド交通は、年間26,209回運行し、31,070人が乗車した。乗合回数は4,511回、乗合率は17.21%だった。

費用面では、行政負担額30,715,220円、1運行当たり行政負担額1,113円、行政負担割合51.84%とされている。

指標2025年度実績
運行回数26,209回
乗車人数31,070人
乗合回数4,511回
乗合率17.21%
行政負担額30,715,220円
1運行当たり行政負担額1,113円

直近5年度で見ると、運行回数は2021年度29,764回から2025年度26,209回へ、乗車人数は36,150人から31,070人へ動いている。

ただし一直線に減ったわけではなく、2023年度には運行30,021回、乗車36,501人まで増えた年もある。

このため「利用が毎年一定割合で減っている」とはしない。

循環バスは2025年度41,705人が利用した。直近5年度は36,367人、41,505人、41,435人、42,851人、41,705人だった。

2026年10月にルートが南・北へ分かれるため、この2025年度値を旧ルート側のbaselineとして残す。

これらの数値は、公式PDFを既存のEvidence Archive Queue経由でGoogle Driveへ原本保存し、保存原本の表をページ画像で再確認した。

2026年度は1億6,865.8万円の地域公共交通活性化事業を予算化

2026年度当初予算案では、地域公共交通活性化事業の大事業予算は168,658千円だった。

主な内訳は次になる。

予算項目2026年度当初予算
生活バス路線運行費補助事業80,197千円
地域公共交通活性化協議会事業58,690千円
地域内交通確保事業24,500千円

協議会事業58,690千円の中では、

  • デマンド交通運行負担金 30,528千円
  • 循環バス運行負担金 19,794千円
  • 公共交通利用回数券負担金 2,232千円

が示されている。

地域内交通確保事業24,500千円では、睦合線4,465千円、大森線11,103千円、湯沢沼館線4,186千円、上畑線3,084千円、柏木・大森病院線1,137千円が載っている。

これは決算ではない。当初予算案である。

予算が付いたことと、実際に同額を支出したこと、成果が出たことは分ける。

「交通事業者への補助」だけではない

2024年の一般質問では、交通事業者への赤字補填だけでなく交通サービスの充実へ予算を使い、その検証を公開しているかという問いが置かれていた。

2024年度・2026年度の予算を見ると、実際の予算構造は一種類ではない。

  • 民間路線バスの維持補助
  • デマンド交通
  • 循環バス
  • 廃止路線の代替交通
  • 公共交通利用回数券
  • 地域内交通

などへ分かれている。

したがって「横手の公共交通費=バス会社への赤字補填」とまとめると実態を落とす。

同時に、予算項目が多様だから効果的だとも限らない。

各サービスの利用、費用、到達性を別に見る必要がある。

2026年9月時点で、デマンド交通は市内全域をカバーする

横手デマンド交通は、中心部バスゾーンを除く横手市内全域を運行範囲とする予約型乗合交通である。

運行時間は午前7時から午後6時で、土日祝日も運行する。

ただし中心部バスゾーン内だけの移動には使えない。

「全市域を運行する」と「市内のどこからどこへでも自由に使える」は同じではない。

サービス条件を地図へ落とす場合も、この制約を残す必要がある。

2026年10月1日、循環バスは南・北ルートへ分かれる予定

横手市は2026年10月1日から、循環バスを南ルートと北ルートへ分ける予定を案内している。

各ルート10便で、通常運賃は大人1乗車200円。

9便・10便は土日祝日等に運休する。

2026年9月7日時点ではまだ未来なので、これは「実施予定」である。

10月1日を過ぎたら、予定通り実施されたかを確認して初めて 実施済み へ変える。

ここまでを政策履歴として並べる

時点段階確認できたこと
2024-03-01質問計画進捗、住民参加、予算検証・公開、交通基本条例が質問項目
2024-03答弁市議会公式要約で住民ニーズ反映、予算構造・情報公開、条例を制定しない考えを確認
2024-03計画2024〜2028年度の地域公共交通計画を策定
2024年度予算地域公共交通費179,213千円
2025年度実績デマンド31,070人、循環バス41,705人等を確認
2026-06計画改訂地域公共交通計画を改訂
2026年度予算地域公共交通活性化事業168,658千円
2026-09実施中デマンド交通を運行
2026-10-01実施予定循環バスを南・北ルートへ改編予定
2026-10以降改編後結果利用実績等を今後観測

これで「議会で質問された」で止まらず、答弁・計画・予算・実績まで同じ政策論点を追える。

ただし表の行が連続していても、前の行が次の行を引き起こしたとは限らない。

baselineが取れたので、次は改編後の差を見る

2025年度実績が取れたことで、利用者数や1運行当たり行政負担額を「今後取りたい指標」だけで終わらせずに済むようになった。

次に見るのは、2026年10月改編後について、

  • 南ルート・北ルート別利用者数
  • 旧循環バスとの利用者数差
  • デマンド交通の運行回数・乗車人数・乗合率
  • 年度別決算
  • 1運行当たり公費
  • 利用者1人当たり公費
  • 交通空白や到達性の変化

である。

人口が減る地域では利用者数だけでも判定しにくい。

利用者数が減っていても、人口減少より緩やかなら相対的には利用が維持されている可能性がある。

逆に利用者が増えても、運行費が大幅に増えていれば別の評価が必要になる。

10月改編後は「前後」を別Recordで持つ

循環バスはルートが変わるため、改編前のデータを新ルートで上書きしない。

少なくとも、旧ルートの利用者数・費用、新しい南ルート、新しい北ルート、デマンド交通の同期間実績を時点付きで残す。

地図側では旧ルートと新ルートの位置・到達性を比較する。

記事側では予算と利用実績の前後を比較する。

地図と議会追跡の責務は分ける

地図側が持つものは、路線、停留所、運行区域、所要時間、到達性、時点差分である。

議会・記事側が持つものは、質問、答弁、計画、予算、実施状態、利用実績、評価になる。

政策履歴をGeoJSONへ埋め込みすぎず、安定IDで接続する。

現時点の結論

横手の公共交通は、2024年3月に議会で政策の進め方や予算検証が問われ、議会公式資料から執行部回答の要約まで確認できた。同月に2024〜2028年度の地域公共交通計画が策定され、2024年度予算、2025年度実績、2026年の計画改訂と予算、デマンド交通の現行運行、10月の循環バス再編予定まで同じ論点で追える。

一方、2024年3月答弁の会議録逐語本文と、2026年10月改編後の結果はまだ欠けている。

だから現時点では、

議会の問題提起により公共交通が改善した

とは言わない。

言えるのは、質問・公式答弁要約・計画・予算・改編前実績・実施予定を時系列で追えるところまで来たということまでである。

次は会議録逐語本文の回収よりも、10月改編後の利用・決算実績を接続することの方が施策評価には重要になる。

Sources

  • yokote-council-r6-03-questions: 横手市議会「令和6年3月定例会 一般質問要旨」
  • yokote-council-news-79-r6-05: 横手市議会「横手市議会だより No.79」
  • yokote-council-minutes-search: 横手市議会「会議録検索システム」
  • yokote-public-transport-plan-r6-r10: 横手市「地域公共交通計画」
  • yokote-public-transport-r6-budget: 横手市「令和6年度当初予算(案)の概要」
  • yokote-public-transport-r8-budget: 横手市「令和8年度当初予算(案)の概要」
  • yokote-public-transport-results-r7-2026-05-29: 横手市地域公共交通活性化協議会「令和7年度デマンド交通・循環バス・公共交通利用回数券の実績について」
  • yokote-mayor-statement-r8-09: 横手市「令和8年9月定例会 市長所信説明」
  • yokote-demand-and-loop-bus-r8: 横手市「横手デマンド交通・横手市循環バス」
  • yokote-loop-bus-r8-10-new-route: 横手市「令和8年10月1日から 横手市循環バス」