横手の除雪問題を「雪が多い」「人が足りない」で止めると、毎年同じ話になる。

本当に見たいのは、その課題がいつから行政計画に入り、議会でどう問われ、市が何を課題として認識し、どこへ予算を付け、その結果として担い手やサービスがどう変わったかである。

横手市の資料を時系列で並べると、除雪オペレーター不足は最近突然出てきた問題ではない。

過去の雪対策計画ですでに担い手不足と雇用環境が課題として扱われ、2025年12月には一般質問で直営オペレーター確保や早朝除雪の労働環境が取り上げられた。2026年度当初予算の審査では、市側が賃金を一番の課題と説明している。

さらに2026年度予算には、除雪機械購入事業として1億7302万3千円が計上されている。

ここまでは追える。

一方で、処遇改善によって実際にオペレーターが何人増えたのか、採用応募が増えたのか、除雪開始時刻や市民の苦情がどう変わったのかは、現時点の追跡系列では確認できていない。

オペレーター不足は過去計画から課題だった

第3期横手市総合雪対策基本計画のアクションプログラムでは、除雪オペレーター不足を背景に、

  • 外部委託化
  • 建設事業者以外への受託働きかけ
  • 一人乗車化
  • 雇用環境の改善

などが扱われている。

これは過去計画であり、2026年現在の達成状況を示すものではない。

それでも、除雪の担い手不足が単年度の採用失敗ではなく、以前から継続してきた構造課題だったことは分かる。

2025年度も1181.8kmを機械除雪する体制が必要だった

令和7年度横手市除雪基本計画では、道路等の機械除雪対象延長は合計1181.8kmだった。

除雪機械は直営135台、委託260台とされている。

人口が減っても、除雪対象道路が人口と同じ速度で消えるわけではない。

そのため、担い手不足を見るときは、人口だけでなく、

  • 何kmを除雪するか
  • 何台の機械を動かすか
  • 直営と委託をどう分担するか
  • 一台あたり何人必要か

を見る必要がある。

人が減ったから除雪需要も同じ割合で減る、とは置けない。

2025年12月、労働環境そのものが議会質問になった

令和7年12月定例会では、除雪機械による道路除雪について、

  • 直営オペレーターを確保できたか
  • 早朝除雪の労働環境
  • 除雪機械格納庫
  • GPSを使った除雪情報提供
  • 市民からの要望の伝達

などが質問テーマになった。

ここで重要なのは、除雪問題が単に「機械が足りるか」ではなく、働く人の確保と労働環境まで含む問題として議会に出ていることだ。

ただし、一般質問で指摘されたことをそのまま行政事実として採用しない。

質問は追跡の入口である。

2026年度予算審査では、市側が「賃金」を一番の課題とした

令和8年度当初予算の予算決算委員会産業建設分科会長報告では、除雪オペレーターの処遇改善について市側の説明が記録されている。

そこでは、賃金が一番の課題であり、季節雇用と通年雇用のバランスなど難しさはあるものの、オペレーター確保には処遇改善が必須だという認識が示されている。

「人が来ない」という抽象論より一段具体的である。

市側自身が、担い手不足と賃金・雇用条件を結び付けて説明している。

ただし、この予算審査記録を2025年12月一般質問への直接の答弁として扱うことはしない。

同じ除雪担い手問題に対する行政側の認識として接続する。

2026年度には除雪機械購入へ1億7302万3千円

横手市の令和8年度一般会計予算の主な普通建設事業には、除雪機械購入事業173,023千円が掲載されている。

金額だけを見ると大きい。

しかし、この数字は除雪関連予算全体ではない。

例えば、

  • オペレーター人件費
  • 委託費
  • 燃料
  • 修繕
  • 格納庫
  • 情報システム
  • 高齢者等への除排雪支援

などを全部含む総額ではない。

したがって、

横手市は除雪に1億7302万円使っている

とは書かない。

正しくは、2026年度の普通建設事業として確認できる「除雪機械購入事業」が1億7302万3千円である。

機械を買うことと、人が確保できることは別

除雪機械を更新・購入しても、運転する人がいなければ体制は成立しない。

反対に、人件費だけを上げても機械が老朽化していれば作業効率や故障リスクは残る。

除雪体制を追うなら、

要素確認したい指標
オペレーター数、応募数、年齢、雇用条件
機械台数、更新年、故障、稼働率
路線除雪対象延長、担当範囲
時間出動時刻、完了時刻、遅延
費用人件費、委託費、機械費、燃料等
利用者側苦情、要望、通勤・通学への影響

を分ける必要がある。

現時点ではこの全てが揃っているわけではない。

だから「機械購入予算が増えたから対策が進んだ」とも、「人手不足だから何もできていない」とも結論しない。

GPSは導入したかどうかより、何が変わったかを見る

2025年12月の一般質問では、GPSを使った除雪情報も論点になっている。

除雪車の位置を表示できれば、市民が状況を確認しやすくなる可能性はある。

一方で、本当に評価したいのは導入有無だけではない。

例えば、

  • 問い合わせ件数が減ったか
  • 苦情対応時間が減ったか
  • 配車判断が早くなったか
  • 除雪完了時刻が改善したか
  • オペレーター側の報告作業が減ったか

まで見たい。

位置・走行軌跡・除雪区間を扱うなら地図側と相性が良い。

ただし、GPSの導入時期、事業費、運用結果は議会追跡・知識側で持つ。

同じ情報を地図の属性へ二重に埋め込まない。

2026年度冬期に確認したいのは「結果」

ここまでで、

  1. 過去計画でオペレーター不足が課題化されていた
  2. 2025年度も1181.8kmの機械除雪体制が必要だった
  3. 2025年12月に労働環境が議会質問になった
  4. 2026年度予算審査で市側が賃金・処遇改善を課題と説明した
  5. 除雪機械購入事業173,023千円が予算化された

ところまではつながった。

次に必要なのは、2026年度冬期の結果である。

特に、

  • 直営オペレーター数
  • 委託側の担い手状況
  • 募集時の賃金・雇用条件
  • 欠員数
  • 出動実績
  • 除雪完了時刻
  • GPS等の運用状況
  • 市民問い合わせ・要望

が公開されれば追跡価値が高い。

前年との比較ができれば、処遇改善や機械更新が何に効いたかを検討できる。

地元就職者には「需要が残る」と「働きやすい」を分ける材料になる

横手では道路除雪という需要が残る。

だからといって、除雪関連の仕事を無条件に勧めることはできない。

早朝・深夜勤務、季節雇用、技能、責任、事故リスク、賃金などを同時に見る必要がある。

むしろ市側が処遇改善を課題として認識しているなら、

需要があるのに採用が難しい仕事で、条件が今後どう変わるか

を追う意味がある。

求人観測と議会追跡を接続すれば、公共需要と実際の雇用条件を別々に確認できる。

現時点で言えること

横手の除雪担い手不足は、過去計画、一般質問、予算審査まで複数の資料で継続して確認できる。

2026年度には機械購入予算も確認できる。

しかし、これらの対応によってオペレーター確保や除雪サービスが改善したかはまだ分からない。

そのためこの記事は、

横手市は除雪問題を解決した

とも、

何年も何も変えていない

とも書かない。

次の冬の人員・運行・費用・利用者側の結果を追加して、初めて一段先の評価へ進む。

Sources

  • yokote-snow-action-program-3rd: 横手市「第3期横手市総合雪対策基本計画 アクションプログラム」
  • yokote-snow-plan-r7: 横手市「令和7年度 横手市除雪基本計画」
  • yokote-council-r7-12-snow-operator: 横手市議会「令和7年12月定例会 一般質問 除雪機械での道路除雪の労働環境と施設整備」
  • yokote-budget-committee-r8-snow-workforce: 横手市議会「令和8年度当初予算 予算決算委員会産業建設分科会長報告」
  • yokote-budget-r8-snow-machines: 横手市「令和8年度 横手市一般会計予算の主な普通建設事業」