横手市の立地適正化計画は、2019年3月の策定後、2022年5月に見直された。
変更量が大きかったのは横手地域の居住誘導区域だ。
市の改定資料では、316.2haから296.3haへ19.9ha縮小している。
一方、十文字地域の居住誘導区域は124.8haのまま変わっていない。
地図で見ると、横手中心部だけで計画上の境界が実際に動いたことが分かる。
横手地域は19.9ha、都市機能誘導区域も1.0ha縮小した
横手市が2022年5月の見直し資料で示した変更前後の面積は次のとおり。
| 地域 | 区域 | 2019年策定時 | 2022年改定後 | 変化 |
|---|---|---|---|---|
| 横手 | 居住誘導区域 | 316.2ha | 296.3ha | -19.9ha |
| 横手 | 都市機能誘導区域 | 123.0ha | 122.0ha | -1.0ha |
| 十文字 | 居住誘導区域 | 124.8ha | 124.8ha | 0.0ha |
| 十文字 | 都市機能誘導区域 | 24.9ha | 24.9ha | 0.0ha |
市全体の市街地が一律に縮小されたわけではない。
横手地域では境界が見直され、十文字地域では面積上の変更がなかった。
この違いは、人口減少だけを理由に説明できない。
2022年の見直しには防災指針の追加がある
横手市は、国の都市再生特別措置法改正を受け、立地適正化計画へ防災指針を追加している。
市の計画本編では、災害リスクを分析したうえで、防災・減災対策を位置付け、災害リスクが大きい箇所を居住誘導区域から除外する考え方を示している。
ただし、災害リスクがある土地をすべて居住誘導区域から外したわけではない。
想定最大規模の浸水想定区域をすべて除外することは現実的に難しく、地震についても場所を限定して区域から外すことには限界があると市は整理している。
そのため、地図上で「改定後に区域外になった場所」を見ても、単純に「危険だから住んではいけない場所」と読むことはできない。
区域見直しは、防災指針と土地利用誘導を組み合わせた行政計画上の判断である。
居住誘導区域の外は「住宅禁止区域」ではない
ここは誤解しやすい。
居住誘導区域は、住宅を建ててよい範囲と禁止する範囲を分ける線ではない。
横手市では、居住誘導区域外で一定規模以上の住宅開発や建築を行う場合、原則として着手30日前までの届出が必要になる。
つまり、この区域は「今後どこへ居住を誘導していくか」を行政が示す政策上の範囲として読む必要がある。
個別の土地で何を建てられるかは、用途地域、建築基準法上の制限、接道、農地、災害規制など別の条件も確認する必要がある。
地図では2019年と改定後相当を重ねられる
このサイトでは、2019年策定時の区域を国土数値情報A50から、改定後の区域に強く整合する形状を国土交通省の令和7年度都市計画決定GISから取得している。
どちらも国土交通省が整備した公的なGISデータだが、横手市自身が公開した正確な境界座標とは扱っていない。
特に令和7年度GISは、横手市の2022年改定後の公表面積とほぼ一致する一方、データ内の決定日や最終告示日の属性が空欄だった。
そのため、このサイトでは、
- 2019年: A50に残る策定時区域
- 2022年5月: 横手市が確認できる公式な改定版
- 令和7年度GIS: 2022年改定後と強く整合する公的派生geometry
を別の記録として保持している。
地図上で形が重なって見えても、出典と版を同一視しない。
住む場所を考えるなら、線の内外だけでは足りない
居住誘導区域は、長期的な都市構造を読む材料になる。
しかし、住宅選びではこれだけを見ても足りない。
少なくとも、
- 洪水・内水・土砂災害などのハザード
- 用途地域
- 医療、買い物、公共交通への距離
- 除雪と冬季移動
- 上下水道などの基盤
- 将来も維持される施設や路線
を重ねて見る必要がある。
逆に言えば、立地適正化計画の価値は「区域内なら安心」と判定することではなく、行政が将来どこへ生活機能と居住を寄せようとしているかを読むことにある。
地場経営者には、将来の商圏と公共投資の方向を見る材料になる
都市機能誘導区域は横手地域で123.0haから122.0haへ1.0ha縮小した。
面積変化は小さいが、医療、福祉、商業などの都市機能をどこへ誘導するかという政策上の範囲である。
店舗や事業所の立地を考える場合、現在の交通量や地価だけでなく、
- 居住を維持・誘導しようとしている範囲
- 都市機能を集めようとしている範囲
- 中心市街地活性化施策
- 公共施設再編
- 道路や公共交通の維持方針
を合わせて見る方が、10年単位の立地判断には使いやすい。
この地図は、そのための時間軸を持つ土台として整備している。
用途地域と洪水想定まで重ねて見られるようになった
誘導区域の旧版と改定後に加え、現在は国土交通省の令和7年度都市計画決定GISから抽出した用途地域と、国土地理院「重ねるハザードマップ」の洪水浸水想定区域(想定最大規模)を同じ地図で確認できる。
用途地域は、住宅系・商業系・工業系という俯瞰用の大分類で表示し、区域を選ぶと正式な用途地域名、容積率、建ぺい率を確認できる。用途地域だけで個別土地の建築可否を判定するものではない。
洪水レイヤーは国土地理院が配信する公式タイルを参照している。ただし、これは市町村が作成する水害ハザードマップそのものではなく、表示の有無だけで個別地点の安全性を判定しない。
また、横手市は2026年7月17日に雨水出水(内水)の浸水想定区域図を公表している。想定最大規模降雨は150mm/hで、河川からの洪水(外水)とは別の想定である。
したがって、地図の洪水レイヤーだけを見て「水害リスクを確認した」とは扱わない。内水については横手市の公式図も別に確認する必要がある。区域外でも浸水が発生する可能性があることを市が明記しているため、色が付いていないことも安全の保証にはならない。
ここまで重ねても、医療、買い物、公共交通、除雪、上下水道まで一つの地図で評価できる状態ではない。区域の色を増やすこと自体を目的にせず、住む・働く・事業を続ける判断に必要な条件を順番に接続する。
Sources
yokote-location-optimization-plan: 横手市「横手市都市計画マスタープラン・立地適正化計画」yokote-location-optimization-plan-body-2022: 横手市「横手市都市計画マスタープラン Ⅳ.立地適正化計画」yokote-location-notification-system: 横手市「立地適正化計画の施行に伴う届け出制度」mlit-location-optimization-a50-2020: 国土交通省「国土数値情報 立地適正化計画区域データ A50」mlit-city-planning-gis-r7: 国土交通省「都市計画決定GISデータ 全国データ」gsi-hazardmap-flood-l2-tile: 国土地理院「重ねるハザードマップ 洪水浸水想定区域(想定最大規模)オープンデータ配信」yokote-inland-water-hazard-2026: 横手市「雨水出水浸水想定区域図を公表します」